ワッチ?ビーニー?ニット帽子の種類とかぶり方
2021/11/26
- 帽子コラム
帽子の種類の定義というのは難しいものです。その代表例は「ソフトハット」でしょうか。実はこの言葉、「フェルト素材の中折れハット」と「布製の布帛(ふはく)ハット」の両方を意味してしまうのです。
そしてもう一つ、専門家たちの頭を悩ませるのが、「ニット帽子」です。そこで今回は、しばしば混乱をきたす、「ワッチとは?」「ビーニーとは?」というニット帽の種類分けと、よくある疑問についてまとめてみました。
専門家の間でも大混乱?ニット帽の種類分けはアバウト
ニット帽子(ニットキャップ)は、毛糸を編み込んで作られた帽子の総称です。ワッチキャップ、ビーニーなどと呼ばれるものも、ほとんどの場合、ニット帽子(ニットキャップ)と同じような帽子を指します。
ワッチキャップのワッチは、英語の「watch=見る」で、漁師の帽子をヒントに海軍の「見張り」担当の兵士(水兵)が用いるようになったのが、その名前の由来と言われています。
一方のビーニーは、「bean=豆」に由来するという説も見られますが、詳細については謎が多く、元々はざっくりと「ツバのない帽子」くらいの意味だった可能性もあるようです。
ニット帽子(ニットキャップ)といえば、折り返し部分の「あり・なし」が大きな特徴の一つになりますが、この折り返しのあるものを「ダブルニット帽」、折り返しのないものを「シングルニット帽」と区分けしている帽子屋さんもあります。
一部には、「ダブルニット帽」(折り返しあり)を「ワッチキャップ」、「シングルニット帽」(折り返しなし)を「ビーニー」と定義する向きもありますが、メーカーやブランド側の商品名が「逆」になっている場合も多く、ニット帽の種類分けはだいぶ曖昧になっているというのが現状です。
さらに、ビーニーと呼ばれる帽子の中には、いわゆるロールキャップ(フィッシャーマンキャップ)も含まれてくるため、このあたりの分類は非常にややこしいことになっています。
ひとまず、ワッチキャップ、ビーニーも含めて、広い意味で「ニット帽(ニットキャップ)」と同じものを指すと捉えておくのが、とりあえずの「正解」と言えそうです。
冬のイメージだが、夏にニット帽をかぶるのはOK?
多くがフリーサイズで、気軽にコーデにアクセントを加えられる、そんなニット帽子(ニットキャップ)といえば「冬の帽子」という印象が強いですが、夏場を含めたオールシーズンで着用できるものもあります。ポイントとなるのは、使われる素材と生地の厚みです。
主にウールやカシミヤなどを使って厚手に仕立てられたものは、もちろん冬場の防寒用になります。編み方も、畝(うね)のようなリブ編み、柄を織り出したケーブル編みなど表情豊かで、見た目にも暖かい雰囲気を演出してくれます。
対して、主にコットンやシルクなどの素材を使い、薄手で通気性よく、サラッと蒸れにくい仕様に仕上げられたニット帽は、通称「サマーニット」などと呼ばれ、春夏秋を含むオールシーズンで活躍します。
例えば、お店の店員さんなどで、普段屋内にいるので防寒用途ではないが、ニット帽のシルエットが好きなので一日中かぶっていたいという方や、普段使いのシーンでちょっとした寝癖隠し目的で使いたいという方などに、特におすすめのアイテムです。
そんなサマーニットのうち、折り返しがなくショートタイプのフォルムで、ざっくりとした編地でより通気性を重視したようなニット帽は、「イスラムキャップ(イスラムワッチ)」と呼ばれる場合があります。俳優の黒沢年雄さんがよくかぶっているイメージがありますね。
さて最後に、ニット帽のカテゴリーの中でも、ハンチング、キャスケット、野球帽などキャップ系の帽子がお好きな方にご紹介したいのが、「つば付きニット帽」です。ブランドによってはオスロキャップなどと呼ばれますが、耳まで軽く覆えて暖かいのが特徴の帽子です。
「つば付きニット帽」は、ニット素材ならではの独特の可愛らしさがあるので、レディースキャスケット(女性もの)としても、メンズニット帽子(男性もの)としてもおすすめです。キャップ感覚で気軽にかぶれるので、ニット帽に抵抗感をお持ちの方でも取り入れやすいアイテムとなっています。