シゾール・パラシゾール・サイザル麻の違いって何?
2022/03/23
- 帽子コラム
「夏のおしゃれの定番帽子といえばパナマハットだけど、ちょっと高級そうなイメージのある、シゾールハット、パラシゾールハットも気になる」・・・そんな思いを抱いていませんか?
そこで今回は、メンズもレディースも、帽子好きならやっぱり気になる、シゾール・パラシゾール・サイザル麻の違いについて調べてみました。
シゾールとサイザル麻の違いと名称の由来は?
シゾール(sisol)は、フィリピン原産のマニラアサ(アバカ)の葉からとれる繊維です。「麻」という名前がついていますが、厳密には麻ではなくバナナの仲間で、バショウ科の植物になります。この繊維は、日本のお札(紙幣・日本銀行券)の原料にも使われています。
またシゾール(sisol)と名前がよく似たサイザル麻(sisal)は、メキシコ原産のキジカクシ科リュウゼツラン属の植物からとれる繊維です。主にロープや住宅の床材、ダーツの的の素材として使われています。
サイザル麻(sisal)も正確には麻の仲間ではなく、歴史的によく用いられてきた繊維である麻にちなんでそう呼ばれるようになったとされています。ちなみに「サイザル」という呼称は、この繊維の主な輸出拠点であったメキシコ・ユカタン半島の港町シサル(sisal)に由来するものになります。
帽子の素材として用いられるシゾール(sisol)は、このメキシコ由来のサイザル麻(sisal)に似た繊維ということで名付けられたようですが、上で紹介したように、両者は正確には全く違う植物を元にした素材になります。
そもそもシゾールハットは高級な帽子なのか?
フィリピン原産のマニラアサ(アバカ)の葉を原料とする繊維・シゾール(sisol)は、細く軽くて丈夫な上に、染色性が高く見映えのする発色が期待でき、美しい光沢感を出すこともできます。そのためシゾール(sisol)で編まれたハットは高級品として認知されています。
シゾールハットは、広い意味で「ストローハット(麦わら帽子)」に分類される帽子の中でも、圧倒的な高級感があります。ペーパーやラフィアといった素材に対してはもちろん、希少性の高さから価値のある昔ながらの麦わら(=麦の藁・ストロー)を使ったアイテムと比較しても、より高級な位置づけとなっています。
夏の帽子の代表格ともいえるパナマハットと比較した場合、パナマハットには編み目の細かさによって価格帯に幅がありますが、その中でも、シゾールハットはワンランク上のいわゆる「高級パナマ」と呼ばれるようなアイテムに匹敵します。
素材的な違いとして、パナマハットがソフトでしなやかな質感であるのに対して、シゾールハットは繊維が細くパリッと硬めの仕上がりになるのが特徴です。その分、シゾールハット特有の光沢感と染色性の高さにより、パナマハットとはまた趣の異なった高級感をコーディネートに取り入れることができるでしょう。
気になる、シゾールとパラシゾールの違いは?
最後に、シゾールハットには主にシゾールとパラシゾールの2種類がありますが、これは「編み方」の違いを指しています。パナマハットに詳しい方にはおなじみの編み方に、Brisa(ブリーサ/石目編み)、Llano(リャノ/網代編み)がありますが、これを当てはめると・・・。
「シゾール」が石目編み(いしめあみ)、「パラシゾール」が網代編み(あじろあみ)ということなります。