帽子(ハット)にまつわる用語 「中折れ帽」「フェドラ」「トリルビー」の違いとは?
2024/12/20
- 帽子コラム
春夏秋冬のおしゃれに欠かせない男性用(メンズ用)のハットを示す言葉に、「中折れ帽」「フェドラ」「トリルビー」などがありますが、これらにはどんな違いがあるのでしょうか。
そこで今回は、「中折れ帽」「フェドラ」「トリルビー」の種類の違いについて、それぞれの定義・意味・由来・起源などを改めて確認しつつ、考えてみたいと思います。
中折れ帽とは? → 頭頂部が「くぼんだ」「へこんだ」ハットのこと
まず、中折れ帽の「中折れ」とは何かというと、クラウン(頭頂部)の「中央部分が縦に折り込まれている」状態を指しています。
「折り込まれている」という表現がまた少し分かりにくいのですが、シンプルに「くぼんでいる」「へこんでいる」と捉えると分かりやすいかもしれません。
中折れ帽の対極にある帽子が、トップハット(シルクハット)、ボーラーハット(ダービーハット/山高帽)、ボーターハット(カンカン帽)などになるので、平らだったり丸かったりするそれらの帽子のクラウン(頭頂部)の「逆」をイメージすると理解しやすいでしょう。
また「縦に折り込んだ」という定義を厳密に捉えるなら、いわゆるセンタークリース型のみが中折れ帽に該当しそうですが、後方が少し幅広になったティアドロップ型や、くぼみの底部に軽い「戻り」があるクラシック型も、中折れ帽の一種として捉えて間違いありません。
フェドラとは? → ブリム(つば)の長さが「普通」以上のハット
次にフェドラ(フェドラハット/フェドラ帽)ですが、これは19世紀にヨーロッパで執筆・制作された戯曲・劇のタイトル「フェドーラ(フェドゥーラ)」に由来するものです。
劇の初演で主役を担った女優サラ・ベルナールが、劇中で柔らかいフェルト素材の帽子をかぶっていたことでそうした帽子が注目され、劇のタイトルから「フェドーラ(フェドゥーラ)」と呼ばれるようになりました。
現代において、フェドラと呼ばれる帽子は、下の項目で紹介するトリルビーとの比較で捉えると把握しやすいでしょう。
トリルビーはブリム(つば)が短めの帽子なのに対して、フェドラはブリム(つば)が中くらいから長めの帽子(当店・時谷堂百貨では、おおむね約5.5cm以上)になります。
但し、ブランドやメーカーによって商品名等には混乱も見られるため、ブリム(つば)の長さについては、スペック欄や仕様図を確認したり、実際に試着するなどして確かめることをおすすめします。
トリルビーとは? → ブリム(つば)の長さが「短め」のハット
次にトリルビー(トリルビーハット/トリルビー帽)ですが、こちらは1894年に出版され、のちに劇化されたジョージ・デュ・モーリアの小説「トリルビー」に由来する名称になります。
この小説を劇にした際、ロンドンの舞台で登場人物がかぶっていた、てっぺんがへこんだ柔らかなフェルト帽が注目を集め、人気に火がついたことから、「トリルビー」と呼ばれるようになりました。
現代において、トリルビーと呼ばれる帽子は、上の項目で紹介したフェドラとの比較で捉えると把握しやすいでしょう。
フェドラはブリム(つば)が中くらいから長めの帽子なのに対して、トリルビーはブリム(つば)が短めの帽子(当店・時谷堂百貨では、おおむね約5cm以下)になります。
フェドラと比べると、「トリルビー=ブリム(つば)が短め」は定着しているらしく、商品名等の混乱は比較的少なめですが、念のためスペック欄や仕様図を確認したり、実際に試着するなどして確かめることをおすすめします。
【まとめ】それぞれの違いをもう一度整理すると・・・
さて、最後に「中折れ帽」「フェドラ」「トリルビー」の違いについてまとめます。
「中折れ帽」は、クラウン(頭頂部)にくぼみ・へこみがある帽子全般を指します。反対は、トップハット(シルクハット)、ボーラーハット(ダービーハット/山高帽)、ボーターハット(カンカン帽)などです。
そして、広いくくりの「中折れ帽」の中に、「フェドラハット」と「トリルビーハット」が含まれます。
一般的な区分としては、ブリム(つば)が中くらいから長めのものが「フェドラハット」、つば(ブリム)が短めのものが「トリルビーハット」、ということになります。
ぜひ、お好きなコーデに取り入れる、男性用(メンズ用)帽子選びの参考にしてください。