フェルトハットの素材と種類
秋冬の帽子として人気の高いフェルトハット。フェルトとは、羊毛などの獣毛が、蒸気、熱、圧力をかけると互いに絡み合って結合(=縮絨[しゅくじゅう]/フェルト化)する性質を利用して、織らずに布状に加工したものを指します。
フェルトハットに用いられる獣毛は主に3種類、ウール、ラビット、ビーバーで、一般的にこの順番で価格帯が上がっていきます。
また、その中でもラビット毛を素材に用いたラビットファーフェルトハットには、仕上げの違いにより、豊富なバリエーションが存在します。
ぜひ、こちらのページで紹介する情報を参考にして、この秋冬のフェルトハット選びを、思う存分お楽しみください。
主なフェルトハットの素材
ウールフェルト
ウールフェルトは、羊の毛を素材とするフェルトです。比較的容易に縮絨ができることから、一般的なフェルトハットの素材として使われています。ウールフェルトハットは、暖かく伸縮性に優れ、汚れにも強く、外観は光沢の少ないマットな質感が特徴です。触った時にザラザラしていない、なめらかな手ざわりのものを選ぶとよいでしょう。ウールフェルトハットは比較的お手頃な値段のアイテムが多いため、初めてフェルトハットを手にする際の「入門編」としても最適です。
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ラビットファーフェルト
ラビットファーフェルトは、兎(うさぎ)の毛を素材とするフェルトです。縮絨に手間と時間がかかりますが、高級帽子の素材として不動の人気を誇ります。兎の毛は中空であるため、軽くて暖かいことが特徴です。また発色がよく、外観には上品な光沢感があります。ラビットファーフェルトハットは、軽くてキメ細やかで手ざわりもよく、最高のかぶり心地をもたらします。「ワンランク上の帽子がほしい」「良い帽子を長くかぶりたい」という方に最適の逸品と言えるでしょう。
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ビーバーファーフェルト
ビーバーファーフェルトは、ビーバーの毛を素材とするフェルトです。ビーバー毛は大変希少で供給は不安定、縮絨・仕上げにも手間がかかります。ビーバー毛はとても細くて柔らかく、その毛から作られたビーバーファーフェルトは、スウェード(スエード)のようにキメ細やかで、薄く柔らかい、しっとりなめらかな極上の質感を誇ります。ビーバーファーフェルトハットは、フェルトハットの中で他と一線を画す最高級品であり、帽子ファンが最後に到達する憧れのアイテムです。
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カシミヤ(カシミア)フェルト
カシミヤ(カシミア)は、ヒマラヤ山麓のカシミール地方に生息するカシミアヤギの柔毛から取られる繊維です。高級なマフラー、コート、セーターなどの素材として「繊維の宝石」とも称されています。カシミヤを素材に用いるカシミヤフェルトハットは、カシミヤのフェルトがハットとしての成型が難しい性質をもつことから、大変希少(レア)な存在となっており、ラビットファーフェルトハットの最高級ラインやビーバーファーフェルトハットに匹敵する高級品となっています。
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ラビットファーフェルトの仕上げの違い
兎(うさぎ)の毛を素材に用いるラビットファーフェルトは、仕上げのバリエーションが豊富です。これを成型して作られるラビットファーフェルトハットも、その仕上げの違いにより、重厚な印象、リッチな印象、スッキリな印象・・・と、それぞれ異なった表情を楽しむことができます。
ベロア
ラビットファーフェルトを長いケバを持つように起毛させ、表面をなめらかなベルベット状に仕上げたもの。起毛加工により繊維の厚みが増し、起毛した部分に空気を含むことで、保温性が高まります。柔らかくふっくらとした手ざわりが感じられます。外観には豊かな風合いと光沢があり、重厚感、高級感をもつ仕上げです。
スウェード/ファインスエード/スムース
ラビットファーフェルトに特殊な摩擦加工を施し、スウェード(スエード)のようなリッチな表情に仕上げたもの。ベロアよりも毛足は短いのですが、ベロア同様、繊維の厚みが増す起毛加工により起毛部分に空気を含み、保温性が高いという特性があります。外観に均質な毛足の流れがあるのが特徴で、独特の光沢感をもち、ソフトでなめらかな手ざわりが感じられます。
プレーンファーフェルト
ラビットファーフェルトの毛足を短くカットし、起毛させずヤスリやサンドペーパーで磨いて毛羽立たせたもの。毛足の短いなめらかな風合いで、軽くスッキリとした印象です。
ソレイユ
ヘアスプレーのようなツヤ出し剤を、ブラシで薄く塗布して仕上げる手法のこと。毛足の長いメルジン帽体や、ファーミックス帽体に用いられます。ブラシで表面の毛を同じ方向になでつけることにより、人間の髪の毛同様ツヤが増し、美しい仕上がりとなります。